「ストレスが胃にくれば胃潰瘍、頭にくれば10円ハゲ」といった学者がいるが当っていると思う。
何で10円大の大きさに、しかもまん丸にハゲるのか?
など不明な点もあるけど、円形脱毛が発生する原因はストレスによるのは間違いないようだ。
そう断言できるのは、なにを隠そう、私自身が円形脱毛になった体験があるからだ。
あれはもう3年程前になるがいつも髪をやって貰ってる友人にカットしてる最中に、何だ?これは、と「ハゲがあるぞ」といわれた。場所は後頭下部の右側あたり。手鏡を使って見せてもらったら、まん丸くハゲがあった。まさしく10円ハゲという表現がぴったりのハゲだ。
男性ハゲの場合、ハゲの部分と毛のある部位との境目がぼんやりしているが、円形脱毛は明確に境目がある。それもまん丸の状態。手鏡で自分のハゲを見た瞬 間、初めて見る新鮮な驚きがあった。
その時は余り驚きはしなかった。と言うか、友人の手前表情に出すのを抑えた。
ハゲてむきだしになった肌がやけに白かったのをいまでも覚えている。自分の理解を超えた、不思議なものを見る感じがした。
思い当たるストレスといえば、いまから思えば些細なことだが、気にやんでいたことは確かだ。でも大したことではないので、にわかに円形脱毛の原因とは考えられなかったが、他に思い当たらないので、おそらくそれが原因なのだろう。
ハゲた場所も後頭下部の右側なので、私の髪をカットする友人以外はわからないし、普通に生活している分にはその存在すら無視されてしまう。
ハゲた部分を触ると少ししっとりしていて、その感触が珍しくて、触っては感触を楽しんでいたが、それもすぐに飽きてしまった。
一、二ヵ月後、だったと思う友人の店を訪ね確認してもらう、毛が少し生えてきた、と友人は教えてくれた。見ると、丸いハゲの真ん中、直径5ミリ程度に白い毛が生えていた。黒でなく、白い毛が、ウブ毛で ある。
10円ハゲから5円ハゲになった感じである。生えてきたウブ毛を触ると柔らかくカシミアのウールの様だ。白いウブ毛は、日がたつにつれ、中心部か らだんだんと黒くなり、そこまでは興味深く観察したが、いつの間にか忘れ、次に3ヶ月ほどして友人の店へいったら、円形脱毛は完全に消滅してしまっていた。もっと詳しく観察しておけばよかったと悔やまれる。
たいしたストレスではなかったが、自分でも意識しない潜在意識レベルでのストレスがあったのだろう、と勝手に推測している。
でなければストレス説は成立しない。
その後、あのときよりももっと強いストレスに遭遇したことが何回もあったが、残念ながら円形脱毛は出現しなかった。
ストレスへの対応力は人によって差があるし、同一人物でも成長とともに対応力が変化するのかもしれない。今ではオヤジになり神経も図太くなって円形脱毛症とは縁がなくなってしまった。
円形脱毛の場合、ハゲを気にし、それがストレスになって新たな円形脱毛ができることがある。こうなると悪循環である。次から次へと円形脱毛が増殖し、多発型の円形脱毛になっていく。
私のように、気にもとめなければすぐに直るものが、ドツボにはまって抜け出せなくなる人がいる。10円ハゲなど気にするな、と言われればいわれるほど気になってハゲが増える。
こういうタイプに効果的なのがカツラである。全頭タイプのカツラをかぶることによって、円形脱毛が改善される例は多い。
世の中には円形脱毛になったことに気付かずに直ってしまう人もいると思う。私ももしかしたら、その後円形脱毛ができていたのに気がつかなかっただけかもしれない。
その後休日に電車で出かけた時つり革につかまっていると、座席に座っている私と同年代のサラリーマン風のおじさん、ふと見ると円形脱毛症のあるおじさんを見つけたりする。おそらく本人は気付いていないのだと思う。そんな人に向かって親切に教えてあげるのは禁物です。知らぬが仏、というじゃありませんか?
形脱毛症を少し医学的検地から推測してみると
円形脱毛症は、男性ハゲとは違い、医者の書いた書物によると、明らかに病気である。リンパ球が毛根を攻撃して、毛を作り出す毛母細胞を破壊して、毛が抜け落ちる、とある。
リンパ球は、細菌やウイルスが体内に 侵入したとき、それを攻撃し排除する働きをもっている。
この働きを免疫といって、人体にとってなくてはならない働きなのだが、なにをどう勘違いするのか、 おバカなリンパ球が現れて毛根を攻撃してしまう。しかも10円大のまん丸に攻撃する。
この丸さといったら、まさにコンパスで描いたように端整に丸い。まるで人体に神が宿ったようだ。
なんで毛根を攻撃してしまうか?遺伝的要因になんらかの刺激が作用して攻撃するようになる、とかいろいろな理由が検討されているが、ストレス説が最有力だ。ストレスがたまると毛根を攻撃してしまうリンパ球が出現する。
なぜまん丸になるのかも、そのメカニズムはわからない。
いろいろな症例、タイプがある円形脱毛症、一般には、10円大の丸いハゲが一つか二つできるタイプが多く、単発型と呼んでいる。円形脱毛症は、この単発型が大半で、できた場 所によっては本人も知らないうちに、ひっそりと出現して、自然に治ってしまう、世の中に認知されない、哀れな10円ハゲもたくさんある。
単発型が進行すると10円ハゲがたくさんできる多発型になる。円形脱毛の原因はストレス説が有力だが、円形脱毛ができたことによって、それがストレスに なり多発型へと移行する例は多い。
だから医者の処方する薬や注射より、カツラをかぶることで治ってしまう例も数多くある。
医者の治療は、初期の場合はステロイド薬を使った治療を行う。
症状が落ち着き慢性期になると、軽度の脱毛の場合はステロイド注射や冷凍治療、ひどい症状の場合は紫外線療法や局所免疫療法という治療を施す。
多発型がさらに進むと全頭型になる。こうなると、残った毛がまばらで見苦しい。見苦しくなることが、さらにストレスを増幅させる。こうして円形脱毛のドツボにはまっていく‥。
さらに進むと汎発型になる。これはまつ毛や体毛まですべて抜ける症状である。
こうなるとストレスが原因というより、免疫異常、専門的には自己免疫疾患という病気である。
ただし円形脱毛症が病気とはいっても、苦痛があったり、生活するのに不自由するわけではない。ただ見苦しいだけだが、やはり男性ハゲとは違い病気なのだ。
円形脱毛症は、汎発型で完結するのだろうか?汎発型がさらに進むとどうなるのだろうか?